本シリーズの概要と一覧はこちらからどうぞ。
さらに続きです。これで準備は最後になります。
これまでと同様に、
Oracle® Grid Infrastructureインストレーション・ガイド 12c リリース1 (12.1) for Microsoft Windows x64 (64-Bit)
Grid Infrastructure Installation Guide (英語版)
から必要な設定内容を抜粋して記載していきます。
(※今回の環境に必要な分のみを記載するので、実環境でRACを構築する際は別途作業が必要になるかもしれませんのでその点はご留意ください)
RAC構築前準備(ストレージ構成など)
5 Oracle Grid InfrastructureおよびOracle RACのユーザー、グループおよび環境の構成
5.1.1 Oracleインストール・ユーザーについて
Grid InfrastructureおよびOracle Databaseをインストールするユーザーoracle@contoso.local
が各ノードのAdministrators
グループに"直接"所属させる必要があります。
※グループ経由でAdministrators
グループに所属させてはいけません。インストール時にエラーになります。
PowerShellから以下の様に実行するとoracle@contoso.local
をローカルマシンのAdministrators
に所属させることができます。
$DomainName = "contoso.local" $DomainUser = "oracle" $lg = [ADSI]"WinNT://localhost/Administrators,group" $ldapaccount = [ADSI]"WinNT://$DomainName/$DomainUser" $ldapaccount.psbase.Username = "administrator" $ldapaccount.psbase.Password = "P@ssw0rd" $lg.psbase.Invoke("Add", $ldapaccount.psbase.Path)
5.1.2 Oracle Grid Infrastructureインストール用のOracleホーム・ユーザーについて
Oracleホーム・ユーザーは管理者権限のない通常のドメインユーザーにしてください。
管理者権限を持っているとインストール時の検証で弾かれてしまいます。
5.1.3 Oracle RACインストール用のOracleホーム・ユーザーについて
Grid Infrastructure同様にOracleホーム・ユーザーは管理者権限のない通常のドメインユーザーにしてください。
管理者権限を持っているとインストール時の検証で弾かれてしまいます。
5.1.7 インストール時に作成されるオペレーティング・システム・グループ
今回の作業には直接関係しませんが一読することをお勧めします。
5.2.3 ユーザー・アカウント制御を使用したユーザー・アカウントの管理
今回の作業には直接関係しませんが一読することをお勧めします。
大抵のツールはUACの昇格ダイアログが出てきますが、例えばOPatchにはそれがないため、OPatchを実行する場合は昇格させたコマンドプロンプトから使用する必要があります。
6 Oracle Grid InfrastructureおよびOracle RACの記憶域の構成
6.5.2 Windowsでの自動マウントの有効化
ASMのディスクはWindowsの起動時に自動マウントする様にする必要があります。
DISPART
コマンドから自動マウントの設定をしてください。
DISKPART> automount enable
6.6 Oracle ASM用の共有記憶域の構成 および 6.7 共有記憶域のディスク・パーティションの構成
ASMで使用するディスクは以下の要件を満たしている必要があります。
MBRパーティションである
拡張パーティション上に論理ドライブを作る必要がある
ディスクにドライブレターは割り当てないこと
DISKPART
コマンド的には
DISKPART> SELECT DISK n DISKPART> CREATE PARTITION EXTENDED DISKPART> CREATE PARTITION LOGICAL
な感じでパーティションを切ります。
今回はDISKPART
コマンドを使わずStorage Cmdletsを使ってディスクのパーティションを切っていきます。
最初にRAC Node #1から以下のコマンドでディスクの状態を確認します。
> Get-Disk | Sort-Object Number Number Friendly Name OperationalStatus Total Size Partition Style ------ ------------- ----------------- ---------- --------------- 0 VBOX HARDDISK Online 100 GB MBR 1 MSFT Virtual HD SCSI Disk Device Offline 10 GB RAW 2 MSFT Virtual HD SCSI Disk Device Offline 30 GB RAW
今回パーティションを切るのはディスク1とディスク2になります。
PowerShellから以下の様にしてディスク1のパーティションを切ります。
# ディスクを選択 $Disk = Get-Disk -Number 1 # MBRで初期化 $Disk | Initialize-Disk -PartitionStyle MBR # 拡張パーティションを作成 (=CREATE PARTITION EXTENDED) $Disk | New-Partition -MbrType Extended -UseMaximumSize # 論理パーティションを作成 (=CREATE PARTITION LOGICAL) $Disk | New-Partition -UseMaximumSize
同様にディスク2も行います。
# ディスクを選択 $Disk = Get-Disk -Number 2 # MBRで初期化 $Disk | Initialize-Disk -PartitionStyle MBR # 拡張パーティションを作成 (=CREATE PARTITION EXTENDED) $Disk | New-Partition -MbrType Extended -UseMaximumSize # 論理パーティションを作成 (=CREATE PARTITION LOGICAL) $Disk | New-Partition -UseMaximumSize
まとめて行う場合は以下の様にしても良いです。
Get-Disk | Where-Object { $_.PartitionStyle -eq "RAW" } | ForEach-Object { $_ | Initialize-Disk -PartitionStyle MBR $_ | New-Partition -MbrType Extended -UseMaximumSize $_ | New-Partition -UseMaximumSize }
パーティションを切った結果は以下の様になります。
Disk Number: 1 PartitionNumber DriveLetter Offset Size Type --------------- ----------- ------ ---- ---- 1 2097152 10 GB Logical 0 1048576 10 GB XINT13 Extended Disk Number: 2 PartitionNumber DriveLetter Offset Size Type --------------- ----------- ------ ---- ---- 1 2097152 30 GB Logical 0 1048576 30 GB XINT13 Extended
RAC Node #2からもパーティションが切られた結果が反映されている事を確認しておいてください。
これでRAC構築のための前準備が完了です。
次はGrid Infrastructureのインストールを行います。